あの日・・・
イベント会場で、
「あの人」がそっと私のそばに・・・。
誰にも邪魔されない二人だけの空間・・・。
ジャケットを脱ごうとして、
口にくわえていた煙草を、
「持ってろ」って無言で私に差し出した・・・。
ただそれだけのことなのに・・・。
あの瞬間が忘れられない・・・。
「彼」は・・・
小さな秘密・・・
ふらっと・・・
週末は・・・
金曜の夜・・・
いつものように「彼」と待ち合わせ。
場所は、「彼」の職場近くのカフェ。
今までは・・・
温かいカフェラテを飲みながら
お気に入りの本を読み、
「彼」を待つことが楽しかった。
でも、今は・・・
「あの人」がいつもより少し近くにいる・・・
「逢いたい」・・・
そんな思いを振り切るために
一生懸命に本を読む。
「彼」と合流したあとは、
私の中に「あの人」がいることを悟られないように、
言葉を選びながらの会話。
でも・・・
そうすればするほど、
「彼」が遠くなる・・・。
「あの人」が近くなる・・・。
でも・・・
それをしないと、
私のわがままでみんなが傷つく・・・。
良い子でいたいわけじゃない。
傷つくことの痛み、嫌っていうほど知ってるから。
大切な人達に、そんな思いさせたくないだけ。
ただそれだけ・・・。
でも・・・
苦しい。
来月は・・・
風邪ひいたかも・・・
って、昨日「彼」に言ったら、
何度も何度もメールくれたり・・・
仕事を抜け出して電話くれたり・・・
ほんとに心配してくれてるのがよくわかる。
なのに・・・私、素直に喜べなくなってる・・・。
「彼」は、私の中に「母親」をみてる・・・。
それはずっと気づいてたけど、
「まっいっか・・・」って思ってた。
「彼」は、私のことを、「理想の女」だと思い込んでる・・・。
だから・・・
「私がどうしてほしいか?」じゃなく
「お前はこうして欲しいはず・・・。」って押し付ける。
それもずっと気づいてたけど、
「まっいっか・・・」って思ってた。
でも・・・
私のことを「私」として見てくれる「あの人」に出逢ってから、
「何か違う・・・」って感じ始めた。
「あの人」に名前を呼ばれると、どきっとする。
本当の自分でいたい・・・女でいたい・・・
心底そう思う。
「なんでもっと早く・・・。」
考えてもしょうがないのに、
気づくと、頭の中はその思いでいっぱい・・・。
せめて・・・
「あの人」にとって、
ほんの少しでいいから、
私が「女」でありますように・・・。
ありますように・・・。
「あの人」と「私」・・・
何度か逢ううちに分かったこと・・・。
それは・・・
二人は、出逢う前から、
「あの人」は「奥様」に対して・・・
「私」は「彼」に対して・・・
同じ思いを抱き続けているってこと。
それは・・・
それぞれの過去の事情が生み出した
ある種の「申し訳ない」っていう気持ち・・・。
その思いが、「あの人」と「私」を結びつけてくれているのかも・・・。
今日、そう感じた。
嬉しくて嬉しくて泣けちゃうことなのに「彼」には話せない・・・
話したらきっと「彼」を傷つけてしまう・・・
「あの人」ならきっと分かってくれる・・・。
我慢できずに、そんな思いを「あの人」にメールした。
少し甘えたかっただけ・・・。
忙しい「あの人」からの返信なんて期待していなかった・・・。
なのに・・・
携帯を置いた瞬間に鳴った着信音。
「いいなぁ。しっかり泣け。」
ぎゅっと抱きしめられた気がした。
今だけ・・・少しだけ・・・
「あの人」とつながっている幸せ、感じていいですよね?
いいですよね・・・?